HENGE × NAGON 1st Anniversary Edition
「流動する感情を、一杯の日本酒と一筆の線に」
書のアートと日本酒——。
一見遠いようでいて、「日本の伝統」と「いまを生きる感情」を接続するという意味では、とても近い場所にいる二つの表現です。
今回は、書道アーティスト・NAGON氏と、日本酒ブランドHENGEの代表・糊谷の対談形式で、それぞれのルーツや価値観、そしてコラボレーションラベルに込めた思いについて語り合いました。
「伝統を守るけれど、縛られない」——コラボの出会い
糊谷:
まずは、今回のコラボレーションに至った経緯からお話しできればと思います。
HENGEとしてNAGONさんにお願いした一番の理由は、「伝統を大切にしながら、それに縛られていない」ところでした。
僕らは、「変幻自在な日本酒の可能性を追求する」というテーマを掲げ、古い製法を現代に蘇らせながらも、いまの感覚で“美味しい”と感じてもらえる一杯を目指しています。
その姿勢と、NAGONさんの掲げる「流動性」というテーマが、驚くほど重なっていると感じました。
NAGON氏:
私自身も、書道という伝統文化を学んできた身なので、その感覚はすごくわかります。
起点があって、終点があって——という書の基本は大事にしつつ、
そのあいだをどう解釈して、自分なりに表現するかが重要だと思っていて。
「伝統は大事にするけれど、縛られはしない」というスタンスは、HENGEさんの酒づくりの話を聞いたときに、とても近いものを感じましたね。
糊谷:
“変わり続けていい”という前提で、伝統と向き合っている。
そこが、今回ぜひご一緒したいと思った大きな理由です。
波のラベルに込めたもの——「見た人それぞれが、自分の正解を持てるように」
糊谷:
今回のコラボラベルのモチーフは「波」ですが、これはどのようにして生まれたのでしょうか。
NAGON氏:
そうですね。HENGEという名前を聞いたときに、一番最初に浮かんだのが波でした。
波って、一番高いところで色が変わって白くなったり、形が崩れてまた戻ったり、ずっと変化し続けますよね。
私が大事にしている「流動性」も、「HENGE」のコンセプトも、一番素直に一つのイメージに束ねられるのが波だなと思いました。

左上から右へ流れていって、跳ね返るような動きをイメージしながら描いています。
ただ、「これは波です」と決めつけたいわけではなくて、
ある人には波に見えるかもしれないし、ある人にはまったく違う生き物に見えてもいい。
“書いた側としての正解”は波ですが、“見る側の正解”はそれぞれであっていい。
そんな感覚で描きました。
糊谷:
それは、まさにHENGEらしさにもつながる部分ですね。
僕らも「この日本酒はこう飲んでください」「こう感じてください」とは言いたくなくて。食事やシチュエーション、誰と飲むかによって、感じ方は完全に変わるはずで、その余白を含めて“体験”だと思っています。
正解が一つではないラベルデザインは、ブランドの姿勢ともとても相性が良いと感じています。
書道と「言霊」、日本酒と「言葉にならない瞬間」
糊谷:
NAGONさんは「言霊」という言葉をよく使われますが、今回のコラボにも通じる部分はありますか?
NAGON氏:
書道の原点は、文字を書くことだと思っています。
私も最初は「愛」や「夢」といった言葉そのものを書いて、作品として販売していました。
ただ、文字がそのまま書いてあると、「この作品の正解は“愛”なんだな」と、
解釈が固定されてしまう感覚がどこかにあって。
それよりも、「愛」を伝えたい気持ちそのものを、線やにじみで表現するほうが、
見る側が自由に解釈できると思ったんです。
言葉自体は大好きですし、「言霊」という考え方もずっと大事にしています。
ただ今は、“文字としての言葉”よりも、“感情としての言葉”を形にしている感覚ですね。

糊谷:
日本酒も少し似ているかもしれません。
言葉で「旨味がこうで、酸がこうで」と説明することはできますが、
結局のところ、「一口飲んだときに、心がどう動くか」がすべてだと思っています。
ラベルの線も、日本酒の味わいも、どちらも“言葉にならない部分”を扱っている。
そこに共通点があるからこそ、今回のコラボレーションが自然に感じられたのかもしれません。
最後に——このボトルを手に取る方へ
糊谷:
最後に、このボトルを手に取ってくださる方へ、一言メッセージをお願いできますか。
NAGON氏:
今回のラベルの線は、私の中では「波」として描いていますが、
見てくださる方が何と感じるかは、すべて自由でいいと思っています。
HENGEを飲む前と後で、気持ちが少し軽くなったり、
何か新しいことを始めてみようと思えたり、
逆に「今のままの自分でいいや」と思えたり。
どんな変化も、その人にとっての正解だと思うので、
そのきっかけの瞬間にこの一本が寄り添えたら、とても嬉しいです。

糊谷:
僕らとしては、「日本酒はこうあるべき」という枠を一度外して、この一杯を味わっていただきたいです。
グラスの中のHENGEと、ラベルの線、今の自分の気持ち——
それらが重なった瞬間に生まれる感覚こそが、このコラボレーションの本質だと思っています。
【販売情報】
販売期間: 12月1日〜12月14日
販売数: 限定100本
価格: 29,800円(税込・720ml)
販売形式: 抽選販売
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