SAKE DIPLOMAコンクール初代優勝者であり、湯島『すし初』四代目。山内祐治氏が紐解く、HENGE「UMAMI BY2025」が描く新たな境地。

SAKE DIPLOMAコンクール初代優勝者であり、湯島『すし初』四代目。山内祐治氏が紐解く、HENGE「UMAMI BY2025」が描く新たな境地。

伝統と革新が静かに交差する街、東京・湯島。大正10年からこの地で江戸前の暖簾を守り続ける老舗『すし初』の四代目・山内祐治氏は、伝統の職人技を実直に受け継ぐ一方で、日本酒の味わいを科学的・論理的に紐解くストイックな探求者としての顔も持つ。

幼少期から築地市場へ通い五感を研ぎ澄まして育った山内氏は、東銀座などの名店で厳しい修業を積んだ後、実家の暖簾をくぐった。寿司の繊細な味わいに寄り添う日本酒の奥深さに魅せられ、感覚だけに頼らない「論理的なペアリング」の探求を開始。その熱意は、日本ソムリエ協会主催の「第1回 J.S.A. SAKE DIPLOMA コンクール」での優勝という形で結実し、彼は初代王者の栄冠を掴むことになる。

『すし初』のカウンターでは、一皿ごとに日本酒が美しく重ねられ、完璧に設計されたコースが提供されている。大手ワインスクールでの講師活動やメディアでの発信も、すべては「日本酒の本質的な魅力を、正しく、ロジカルに伝えたい」という純粋な探求心からくるものだ。

今期醸造したHENGE「UMAMI BY2025」は、前作の仕込みからさらに一歩踏み込み、「12度という低アルコールの繊細さはそのままに、お米をさらにしっかりと溶かす」という新たな造りに挑戦した。

その結果、前回とはまた異なる、より厚みと立体感のあるニュアンスを持った一本に仕上がっている。

 

緻密な溶け込みがもたらす味わい。

山内氏はグラスをゆっくりと回しながら、今期の「UMAMI  BY2025」が持つ独自の立体感を言葉に落とし込んでいく。

◆ 外観と香り

美しいツヤをまとったイエローゴールドの液体からは、最初に瑞々しいバナナや柑橘の皮(ピール)を削ったときのような、爽やかで青さのあるアロマが立ち上ります。しかし、ここからがこのお酒の面白いところ。 グラスのなかでお酒が空気に触れるたびに、お米本来の豊かな穀物香やナッツの香ばしさ、そして奥底からヒノキのような静謐(せいひつ)な木質香が顔を出します。時間の経過とともに酸が落ち着くと、すべてが綺麗に調和し、まるでパッションフルーツやバナナヨーグルトのような、まろやかで多層的な表情へと『変化』していくのです。

◆ 味わいと余韻

口当たりは非常にマイルドでシルキー。甘味と酸味が見事なバランスで均衡を保っており、滑らかに口中を滑り落ちていきます。お米をしっかり溶かし込んだことで、中盤の旨味の厚さが増しているにもかかわらず、ボリューム感は非常に洗練されていて繊細。 何より、原料米(亀の尾)特有の野生味やざらつきが綺麗に削ぎ落とされ、丸みを帯びながら静かに消えていく清らかな長い余韻には、情報量を持ちながらも出過ぎない、見事な洗練さを感じます。

◆ 食材に寄り添うペアリング

素材のポテンシャルがこれだけストレートに引き出されているお酒には、同じようにいらないものを削ぎ落とした、素材の力が強いお料理を合わせたくなりますね。 冷酒(10〜12℃)であれば、脂の上質な『マグロの中トロ』や、水分量をコントロールして旨味を引き出した『熟成させたヒラメの昆布締め』。お醤油は香ばしさを抑えた加減醤油や出汁醤油にすることで、お酒とお魚の脂が美しく同調します。 また、このお酒の素晴らしいところは、20℃ほどの人肌程度まで温めると、お米のふくよかさがさらに優しく膨らむ点です。お出汁と卵のコクが効いた『ふぐの雑炊』などと合わせると、温もりとともに素晴らしいマリアージュを魅せてくれるはずです。

◆ 熟成へのポテンシャル

熟成に関しても、非常に良い未来が見えます。10℃〜12℃ほどの、ワインのセラーのような環境で寝かせたら、もの凄く面白い化け方をする。低アルコールの上品さを保ったまま、厚みはあるけれど決して重くならない、素晴らしい円熟の境地へ向かうポテンシャルを秘めています。


 

【店舗情報】
店名:すし初(すしはつ)
住所:東京都文京区湯島3-35-8
アクセス:
・東京メトロ千代田線「湯島」駅(3番出口)より徒歩1分
・都営大江戸線「上野御徒町」駅より徒歩5分
・JR山手線・京浜東北線「御徒町」駅より徒歩7分
定休日:不定休(紹介制)
公式Instagram:@sushihatsu_wakadannna
※紹介制のため、営業日・営業時間・ご予約等の詳細は公式Instagramまたはお電話にてご確認ください。