変わることで、受け継がれていく。屋形船「晴海屋」が守る、水上の時間。
岸を離れると、いつも見ている東京が、少し違って見えてくる。
水面に揺れる光。
ゆっくりと後ろへ流れていく街並み。
船内には料理の香りが広がり、窓の外では、刻々と景色が移り変わっていく。
東京という都市の中にありながら、日常とは異なる時間が流れる場所。
屋形船「晴海屋」は、明治から続く水辺の営みを受け継ぎながら、 時代に合わせて、その姿を変え続けてきました。
漁業から、釣り船、そして屋形船へ
晴海屋の始まりは、明治30年代。
現在のような屋形船ではなく、東京の水辺で営む漁業から、その歴史は始まったといいます。
当時、隅田川や品川をはじめとする東京各地の水辺では、 多くの人々が漁業を営んでいました。
その後、時代の変化とともに、釣り船や屋形船へと変化していきました。
これは晴海屋だけに限らず、東京の船宿の多くがたどってきた流れでもありました。
現在も晴海屋では、シジミ漁など、 水辺を生業とする原点が残されています。
屋形船という華やかな存在の奥には、 東京の川や海とともに暮らしてきた人々の、長い時間が流れています。
料理を磨くことが、屋形船の価値を磨くこと
晴海屋が、屋形船を運営するうえで大切にしているものの一つが、料理です。
屋形船の魅力は、単に船に乗り、景色を眺めることだけではありません。
料理を囲み、酒を酌み交わしながら、同じ時間を過ごす。
景色、料理、酒、そして船の揺らぎまでを含めた体験全体が、 屋形船の価値を形づくっています。
晴海屋が運航する屋形船には、カウンター懐石屋形船「あかね」があります。
船内の中央には、料理人の仕事を間近に望むことのできるカウンターが設えられています。 料理が仕上がっていく様子を眺めながら、その一皿をすぐに味わう。
一般的な屋形船の宴席とは異なる、 料理を中心に据えた静かな水上の時間が、そこにはあります。
宴会として屋形船を利用する人だけでなく、 料理や酒を静かに楽しみたい人、訪日旅行者、 より丁寧な食体験を求める人へ。
晴海屋は料理を磨き、酒を整え、海外からの客にも対応しながら、 現代にふさわしい屋形船の形を模索しています。
二人から楽しめる、ひらかれた屋形船
屋形船と聞くと、大人数で貸し切る宴会を思い浮かべる方も少なくありません。
晴海屋では貸切に加え、二人から乗船できる乗合船も運航しています。
特別な祝席だけではなく、夫婦や友人との食事、 東京を訪れた日の記憶として、 より多くの人が水上の時間に触れられるようにするためです。
両国で相撲を観た後に乗船する。
銀座や晴海で過ごした後、水上へ向かう。
浅草を歩いた後、隅田川から東京を眺める。
街で過ごした時間の続きを、 水の上で楽しむことができます。
季節によって、表情を変える東京
船から見える東京の風景は、航路だけでなく、 季節によっても表情を変えます。
春には、隅田川沿いに続く桜並木。
夏には、夜空と水面を照らす花火。
秋には、穏やかな空気の中を進む静かな夜。
冬には、澄んだ空に浮かび上がる橋や街のイルミネーション。
レインボーブリッジやお台場、 ライトアップされた隅田川の橋々も、 陸上から眺める景色とは異なる印象を残します。
屋形船では、料理を味わっている間にも、 窓の外の景色が静かに移り変わっていきます。
同じ場所に留まらないからこそ、 その時間は一つの場面ではなく、 流れを持った記憶として残るのかもしれません。
変えることは、伝統を失うことではない
晴海屋の歩みをたどると、 伝統とは、同じ形を守り続けることではないと気づかされます。
時代に合わせて役割を変えながらも、 水辺で人を迎え、楽しませるという本質は、 変わることなく受け継がれてきました。
取材を通して見えてきたのは、 変化を受け入れることこそが、 屋形船という文化を次の時代へ残す力になっているということです。
それは、HENGEが日本酒を通じて目指していることにも通じています。
HENGEが大切にしているのも、 伝統を過去のものとして保存することではありません。
酒造りの歴史や技術に敬意を払いながら、 味わいの可能性をひらき、 今を生きる人の感性に届く日本酒へと変化させていくこと。
変幻自在に広がる、日本酒の無限の可能性。
受け継がれてきたものを見つめ、 その本質を失うことなく、新しい形へと進んでいく。
晴海屋の船が東京の景色の中を進む姿には、 伝統の延長線上にある革新が、静かに表れていました。
水上で過ごす、ひととき
江戸の時代から、人々は船に乗り、 料理と酒を囲みながら、水上の時間を楽しんできました。
街の姿が変わり、船の役割が変わっても、 人が集い、同じ景色を眺め、 食事をともにする喜びは変わりません。
晴海屋の屋形船は、 過去を懐かしむためだけの場所ではなく、 東京の水辺の文化を、今の時間として味わう場所です。
なかでもカウンター懐石屋形船「あかね」は、 料理人の手仕事、季節の一皿、窓の外を流れる東京の景色を、 一つの時間として味わうことのできる船です。
ゆっくりと移り変わる景色の中で、 料理と酒を楽しむ。
そこには、陸上の食卓とは少し異なる、 静かな余韻が残ります。
受け継がれるものは、 形ではなく、本質なのかもしれません。
東京の水辺で紡がれてきた時間も、 日本酒が歩んできた歴史も。
その本質を守りながら変わり続けることで、 次の時代へ受け継がれていきます。
屋形船「晴海屋」について
名称
屋形船 晴海屋
所在地
136-0074 東京都江東区東砂6-16-9
(晴海乗船場) 東京都中央区勝どき4-6-1
(両国乗船場) 東京都墨田区横網1-2-15
電話番号
03-3644-1344
電話受付時間
10:00〜20:00
晴海屋 公式サイト
https://www.harumiya.co.jp/
カウンター懐石屋形船「あかね」
https://www.harumiya.co.jp/akane/
乗合屋形船 晴海屋:Instagram
https://www.instagram.com/yakatabune_harumiya/
カウンター懐石屋形船「あかね」:Instagram
https://www.instagram.com/akane_yakatafuneharumiya/